公的年金の国債及び財投債保有率が減少しています。
黒田日銀の量的緩和以降、日銀は市場から国債を大量に買い取っていますが、主として銀行から買っています。なぜなら、量的緩和の目的は各金融機関が日銀に保有する日銀当座預金を増やし、即ちマネタリーベースを増やして民間投資を促すことを目的にしているからです。
よって公的年金の国債(財投債を含む、以下省略)保有比率の低下は、おそらく株式市場での運用比率を拡大していることの結果であると思われます。
2008年のピーク時と比較すると約31兆円分の国債が売却され、他の金融資産によって運用されているのだと思います。
ですが、日本国債は今や「金」よりも安全な金融資産です。なのに、私たちの公的年金を株式などのリスク市場で資産運用することの意味がわかりません。
中国経済の失速とともに資源国など新興経済諸国は通貨安に追い込まれています。それにともなって円高が進行していることから日本の株式市場は株安となっています。
ましてや今後、リーマンショック級の危機が発生した場合の株式市場への影響は計り知れません。そうしたリスク市場で私たちの公的年金の一部が運用されているのかと思うと興醒めします。
一方では「ニホンノザイセイハ、ハタンスルー」というインチキで国民世論を惑わせ、そのくせ他方では公的年金という最も安全な運用が求められる積立金を、こうしたリスキーな市場でへいきで運用させる政治っていったい何なんでしょう。