グローバリズムは法人税の引き下げを求めます。
なぜなら、法人税を引き下げさせることによって投資先企業の純利益を増やすことができるからです。その純利益から増配や自社株買いというかたちでグローバル投資家らの利益を最大化しています。(投資先企業に自社株買いをさせると株価が値上がりします)
念のため追記しておきますと、法人税を引き下げることにより企業会計上の税引き後利益、即ち純利益が増えます。株主への配当金はこの純利益から支払われます。
株主総会での議決権行使を投資家らに助言する米インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)などは、資本効率の悪い企業に、経営トップの取締役選任を反対するように勧めたりしています。
グローバリズム化を望む人たち、あるいは新古典派経済学や新自由主義を信奉する人たちが構造改革を推し進めているのはこうした背景があってのことです。こうした背景を知らずに、構造改革に賛成している議員や評論家たちはただのお○○さんです。
また、こうしたグローバリスト投資家のための株主資本主義を正当化する人たちの常套文句が、いわゆる“トリクルダウン理論”です。
トリクルダウン理論とは簡単にいうと、
「富裕層や大企業を豊かにすると、富が国民全体にしたたり落ち(=トリクルダウン)、経済が成長する」という仮説です。あくまでも仮設です。
しかし本当にそうでしょうか?
下のグラフのとおり、昭和59年をピークにして我が国の法人税率は一貫して下がっています。
その結果、株主への配当金が増えたのは、昨日のブログの通りです。
一方、それでも企業の内部留保は増え続けたまま滞っており、トリクルダウンしておりません。
なお下のグラフをみると、法人税の減税によって浮いたおカネは国内に還流するどころか、それとは裏腹に対外直接投資が増え続けています。
トリクルダウン理論は一向に成立していません。