昨日、通常国会が閉会しました。
実現されるかどうかは未だわかりませんが、消費税増税の2年半再延期を決意した総理は財政出動路線への転換を図ろうとしています。一応。
今後はその財政出動の規模と対象が議論の中心になりますが、財務省や、その手先たるマスコミ、あるいは政財界に巣食ういわゆる“クニノシャッキンガァ~”カルトらからの執拗なるネガティブキャンペーン攻撃で、かなりショボイ財政出動になる可能性も充分にあります。
そうした中、フォーブスに注目すべき記事が掲載されていました。
『中国版「ヒッグス粒子工場」 7000億円の巨額予算に賛否両論
http://forbesjapan.com/articles/detail/12327
中国は近年、基礎科学と応用科学の強化に国を挙げて取り組んでいる。科学者たちは世界最大規模の大型粒子加速器の建設を計画している。この施設の建設案が浮上したのは、2012年にスイスにある欧州原子核研究機構(CERN)の大型ハドロン衝突型加速器によってヒッグス粒子が発見された直後のことだ。現在も計画は進行中で、2021年に建設が開始される予定だという。プロジェクト費用は約60億ドル(約6680億円)とされるが、先進国で科学分野の国家予算が減少する中、その額の大きさが際立っている。しかも、最終的なコストが予算内に収まる保証はどこにもない。CERNの大型ハドロン衝突型加速器の建設費用は、当初の見積もりの3倍の90億ドルに膨れ上がった。(後略)』
記事は北京政府が基礎科学や応用科学への投資を強化していることを伝えつつ、後半部ではそれに異を唱える論調もあることを紹介しています。
どこの国にも、巨額投資に必ず異を唱える連中がいるものなのでしょう。
それよりも注目すべきは、北京政府が国家や社会の経済発展のためには「技術に対する投資」が不可欠であることを完璧に理解していることです。
産業革命以降の経済社会では、「資本」と「技術」への弛まざる投資こそが経済の継続的な成長を促し支えるという歴然たる事実があります。
世界的傾向として、いわゆる新古典派経済学に基づくグローバリズム(新自由主義といってもいいし、構造改革主義といってもいい)につき進んできた昨今の社会では、とかく「技術開発投資」は軽視されます。
技術開発投資どころかメンテナンス費用や人件費までもがカットされてきたことで、いまや一部企業の粉飾決算をはじめ管理責任の放棄にともなう事故等が多発しています。それもこれも、グローバル投資家らの利益を最大化するための犠牲といっても過言ではありません。
それ以前に、他の国々と比較しても我が国政府の技術開発(研究開発)への国内での負担割合はあまり高くありません。
上のグラフのとおり、ロシアの政府の負担割合は極端であるにしても、我が国の研究開発費の負担割合はあまりにも民間部門に依存しすぎてはいないでしょうか。
例えば現在、我が国にはILC(国際リニアコライダー)構想があります。
これは、電子と陽電子を光速に近い極限の速度まで加速して正面衝突させることにより宇宙の起源を解明することを目的とした研究です。
直線で、しかも高速度で電子と陽電子を衝突させることでそれらが消滅し、そのことにより宇宙創成1兆分の1秒後の「エネルギーのかたまり」が生み出されビッグバンを再現することが可能になるのだそうです。
「ヒッグス粒子」をはじめとして様々な「粒子」が噴き出され、その粒子を観測することにより、どのようにして宇宙が生まれ、物質が生まれたのか、という人類が長年抱いてきた謎の解明に挑むことができるのだそうです。
こうした研究を進めるにあたり、様々な付随技術が必要とされ開発されていきます。
例えば、スイス・ジュネーブの郊外にあるセルン(欧州原子核研究機構)は、世界最大規模の素粒子物理学の研究所としてよく知られていますが、ここセルンからウェブサイトという新しい技術が付随して開発されたことはあまりにも有名です。
我が国のILC構想においても、研究が進められていく過程のなかで様々な付随技術が誕生し、やがて我が国の経済発展に大きな影響をもたらすことになるでしょう。
ところがところが、このILC構想も、いわゆる「クニノシャッキンガァ」カルトらによる抵抗を受けているとのことです。
かつての日本国民たちによる弛まざる技術開発投資の恩恵の上に、現在の私たち日本国民があることを今一度認識すべきだと思います。
少なくとも今の北京政府は、我が国政府よりも、はるかに技術開発投資の重要性を理解しているようです。
いかにインチキな国とはいえ、その一点において決して侮ることはできません。