昨日から、参議院選挙がはじまりました。
夜の某報道番組では早速、各党の党首なり政策責任者らが政策らしきものを訴えつつ、激しい口論をやりあってました。公論ではなく口論です。
よくよく聞いていますと、よくもまあそんな適当なことを公の場で堂々と言えるものだなぁ、と感心すること多しです。
とりわけ、最も悪質さを感じるのは、事実のほんの一部分をつまみ食いして、総体として嘘というかインチキをでっちあげるレトリックです。
例えば公明党の山口代表。
昨夜の番組でも「アベノミクスで正規雇用が20万人以上増えました」と言っておられました。
でも、いつからいつまでの時点で・・・、とは絶対に言いません。
上のグラフは四半期の平均値でみていますが、どうやら山口代表の言う「増えた」は、上のグラフの赤丸部分のことを指しているようです。
数字やデータは、それを長期的にみるのか、短期的にみるのかで分析に大きな違いが生じます。
どうせつまみ食いをするなら「2014年の第一四半期から比べれば100万人も増えた」と言えばいいのに。つまみ食いするにしても、少しポイントがズレているところが笑えます。
では、正規や非正規の割合を長期の推移でみるとどうなるでしょうか。
実数を短期でみると増えたり減ったりしていますが、割合を長期でみるとやはり正規は減り、非正規が増えているのがわかります。
さて、その山口代表によれば、実質賃金もアベノミクス効果により昨年の秋以降は上昇に転じているそうです。
これも長期でグラフ化してみます。
グラフをみますと、アベノミクス以降、いや以降というよりアベノミクスによって散々にマイナスにしてきたものが元に戻り、依然として実質賃金が上昇していないことがわかります。また、こうしてみると、2014年4月の消費税増税(5%→8%)が実質賃金に大打撃を与えてきたこともよく理解できます。
しかし、上のグラフは前年同月比でみた場合の数値です。これをさらに暦年という長期でみますと下のグラフのとおりになります。
アベノミクス以降、5.5%も下がりました。あの悪名高き民主党政権時代よりも国民を貧しくしてきたのです。おそらく歴代内閣で最低の水準かと思われます。
真実を語らず、公論を論じられないのは、なにも山口代表だけではありません。
いま、国民が政治にしらけつつあるのは、政治家が真実を語り、公論を論じようとしないからではないでしょうか。