イギリスのEU離脱問題が日本経済に与える影響について、グローバリズムを盲信するエコノミストたちが「金融市場が混乱するぅ~」「日本経済にとっても深刻だぁ~」などと、何かとネガティブ情報を垂れ流しています。
それこそ大量の資金が瞬時に国境を越えて走り回るグローバリズム時代ですから、そりゃ金融市場は乱高下するでしょうに。実体経済への影響は別次元の話であるのに、金融経済も実体経済も混同して論じるところが問題であり、いかにも悪質です。
一方、彼らは平素から「日本国債の信任がぁ~」「いずれ国債金利が高騰するぅ~」とオオカミ少年のように唱え続けていながら、その金融市場の混乱とやらの中にあって、なぜそんなに信任のない国の通貨や国債が買われているのかの説明はしてくれません。
長期金利(10年物国債金利)は昨日の段階でマイナス0.23になりました。マイナス金利ということは、損をしてでも安全資産たる日本国債を購入したいという市場の意思の現れです。
円相場も、ブリグジット問題以降買われ続けています。(6月29日 6:26現在の為替レートで102.76 - 102.77円)
危機になると買われる資産のことを、彼らの専門とする金融市場の世界では「安全資産」と呼ぶのではないでしょうか。いったい世界がどうなったら、彼らの言うように日本国債や円が暴落するのか・・・(怒!)
とにかく、イギリス離脱問題が抉れるほどに日本円は買われています。(通貨の信任が高まっています)
このことによって、外国人投資家の取引比率の高い日本の株式市場では、たしかに株価は下落することになるでしょう。円高だと彼らにとって日本株は割高となってしまいますので。しかしそれはあくまでも金融経済の話です。
実体経済への影響を考えますと、円高によって輸出企業の円建て利益が減ることになりますので今後の税収減が予測されます。
そこで日銀の追加緩和が求められているようですが、求められた日銀だってお困りでしょう。更なる量的緩和を行うにしても政府が国債発行を抑制してきたために購入する市場の国債は限られています。金利政策にしても、民間の資金需要の乏しい中、金融機関にこれ以上のマイナス金利をかけるとでも言うのでしょうか。
詰まるところ、今こそ政府(財政出動)の出番です。
例えば政府が建設国債を発行し、防災対策と生産性向上を目的としたインフラ整備事業を着実に推進していくことで、いずれデフレギャップは埋まり、GDPが成長して税収も増え、政府負債の対GDP比率も低下していきます。なお短期的には、政府が建設国債を発行することで日銀の更なる量的緩和も可能になります。
いまのところ10兆円規模の補正が検討されているようですが、更なる上乗せを期待したいところです。
藤井内閣官房参与の提唱されている「脱出速度」を確保するために・・・