「クニノシャッキンガァ~」
「ツウカノシンニンガァ~」
と、何の思考考察もなく、イメージ先行で、ひたすらに世を惑わす識者風の方々が蔓延りつづける今日この頃の日本。
川崎市議会にも、
「国の借金が1000兆円もあるんだから、川崎市役所も民間にできることは民間に任せてプライマリーバランスを黒字化し、持続可能な行政運営をしなきゃ・・・」
と、無知蒙昧をさらけだして恥じ入ることのない頓痴気議員がいます。
まず、行政が黒字化したら民間の経済主体(企業、家計、NPO)のいずれかが必ず赤字化するという経済原則など知ろうともしない。
例えば、行政は収支均衡、家計は資金過剰、企業は資金不足、という理想的な経済状況をめざして、地方行政としても適切なデフレ対策を講じるべきだ、と主張するのならまだしも理解できますが。
そもそもが、クニノシャッキンと言っている時点で失格。国の借金ではなく、正しくは政府の負債です。
日本は国全体としては360兆円以上もの対外純資産を有する世界で一番のお金持ち国家です。しかも国債はすべて自国通貨建てで起債しています。その日本政府がデフォルト(債務不履行)する可能性はゼロである、という事実を頓痴気たちは平然と無視します。
ちなみに、本日の日本経済新聞に以下のような記事が掲載されています。
『外貨準備高、5カ月連続で増加 4月末1兆2625億900万ドル
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS11H07_R10C16A5EAF000/
財務省は11日、4月末の外貨準備高が1兆2625億900万ドルだったと発表した。3月末に比べて4億1000万ドル増えた。(後略)』
そこで、外貨準備を管理する外為特会の資産合計の推移をみてみます。
日本は、政府や民間を含めて外国に対して莫大な金融資産をもっています。そのうち、日本政府が保有している対外資産のことを外貨準備といいます。
今や日本は、
①経常収支の黒字が対外純資産を増やし
②対外純資産が増えることで所得収支が増える
③所得収支が増えることによって経常収支が更に黒字化される
という富のスパイラルを構築しています。このような国の通貨が紙くずになる心配などありますか?
「ツウカノシンニンガァ~」の皆様には、ぜひ円紙幣が紙くずになるプロセスを明確に示してほしいものです。絶対に示せないでしょうけど。
我が日本国の目下の課題は、政府負債残高の多寡ではなく、長引くデフレによって国力の源泉たる供給能力が毀損され続けていることです。
なのに、ばかげた財政破綻論と株主利益優先の構造改革が、そのデフレ対策を阻んでいます。
結局、頓痴気たちの言う「国の借金が1000兆円もあるんだから、川崎市役所も民間にできることは民間に任せてプライマリーバランスを黒字化し、持続可能な行政運営をしなきゃ・・・」
というのは・・・
ありもしない財政破綻論を煽って、国民生活にかかわる安全保障(防災、医療、介護、教育、食料安保など)を破壊してでも株主利益を最大化するためにもっと構造改革を進めよ、と言っているに等しい。
ご本人にはそんな意志も思考もないと思われますが、結果としてはそういうことですよ。