外国為替市場で円高が進んでいます。
『進む円高・ドル安、5日間で6円近くも
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20160503-OYT1T50029.html
3日の海外の外国為替市場で、円買い・ドル売りが加速し、円相場は一時、1ドル=105円台半ばまで円高が進んだ。(後略)』
〇〇エコノミスト風にいうと、先の日銀の金融政策決定会合で追加緩和が見送られたことで、日銀にはもうインフレ率を引き上げる手立てがないのではないか、と判断されたことから投機的な円買いが進んでいるものと推察します。
このブログでも再三指摘させて頂いておりますとおり、現在の東京証券取引市場では円安なら株高、円高なら株安という動きになりますので、休み明けの相場は下落必至と思われます。
心配されるのは、国民の貴重な年金を預かるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の資産運用状況です。
年金積立金ほど、利回りは低くとも安全着実な運用が求められるファンドはないはずなのに、あろうことか安倍政権は株式による運用比率を高めさせました。
当ブログではおなじみのグラフとなりましたが、改めてご紹介します。
一方、川崎市議会議員として心配せざるをえないことは、円高の継続によって本市の市税収入が不足してしまう懸念です。
因みに、こんな懸念をしているのは、市長、議員のなかでは私だけでしょう、きっと。
川崎市の市税収入は名目市内GDPに相関します。当然ですよね、GDPは所得の合計であり、税金は名目値で支払うのですから。
そして川崎市の場合、名目市内GDPは日本の名目輸出に相関します。
上のグラフのとおり、もののみごとに相関しています。因みに相関係数は「9.1」です。
そこで直近の川崎市の市税収入をみてみると・・・
平成26年度、平成27年度と二年度連続で川崎市の市税収入は増えました。
なぜ増えたのか?
人口増で固定資産税収入が増えたことなど、理由は様々複雑にあろうかと思いますが、概ね主要因は名目輸出の拡大であると私は考えます。
下のグラフをご覧ください。
2015年度(平成27年度)の統計が未だ発表されていませんので、ここでは2014年度(平成26年度)までの推移を掲載しますが、上のグラフのとおり、黒田日銀の金融緩和以降、名目輸出は右肩上がりであったことが解ります。
ところが、実質的な輸出(価格ではなく数量)はそれほどに増えていません。
つまり黒田日銀の金融緩和政策によって円安となり、実質的な輸出量は増えていないなか、為替(円安)という物差しが変わった形で税収が増えたのです。
例えば、川崎市の輸出企業が1億ドルの輸出をしたとします。その際、1ドル120円であれば、120億円の売り上げになりますが、1ドル80円だと80億円の売り上げになり、その差は40億円にも及びます。
1億ドルの輸出の売り上げは・・・
1ドル=120円 → 120億円
1ドル= 80円 → 80億円
となり、同じ数量を輸出しても円安によって売り上げに大きな差がでます。
平成26年度、平成27年度と川崎市の税収が増えたのはこうした理由からです。
ところが、円高が長く続くような事態になると、今度は逆に数量が減らなくても売り上げが減ってしまうことになります。
結果、川崎市の市税収入は減少することになります。
残念ながら、川崎市の収支見込み(収支フレーム)はこうした事態を想定していないので、過日の予算議会で質問したわけです。
麻生財務大臣は急激な円高に対しては、為替介入する用意があることを示唆していますが、介入したとしてもあまり効果はないでしょう。
財政出動により需要不足を埋めインフレ率を引き上げる以外に方法はありません。