来る5月18日に、2016年1-3月期のGDP速報値が発表されます。
おそらくマイナスです。
とすると、安倍政権は2年度連続でのマイナス成長という不名誉を背負う憲政史上初めての内閣になります。
その汚名を返上するためにはデフレ脱却のための政策転換が必要です。即ち、“緊縮財政から需要創造のための財政出動へ”という政策転換です。
総理はこれまでの「非」を認めたくないがために、あるいは頑なに緊縮財政を主張する財務省を納得させるために、伊勢志摩サミットで“財政出動”を国際公約にして政策転換したがっているのかもしれません。
その意味で、伊勢志摩サミットは日本の命運を決する重要な国際会議となりますね。
さてそこで、総理の目論みどおり、首尾よく財政出動路線に転換されたとします。となれば、次は当然のことながら具体的に何の分野に支出すればいいのか、ということが政治課題になります。
政府支出には、①政府最終消費支出と、②公的固定資本形成の2種類があります。
いうまでもなく、被災地の復旧復興や防災投資のための公的固定資本形成、いわゆる公共投資が必要です。むろん、生産年齢人口減少に対応するための生産性向上にむけた各種インフラへの投資も不可欠です。
一方、政府最終消費支出ですが・・・
例えば、医療や介護などの分野では、すでに猛烈なインフレギャップ状態にありますが、とりわけ給与水準の向上は急務です。
とくに介護分野ではそれが顕著で、せっかく資格をもちながらも介護現場に従事していない資格者が4割以上もおられます。
従事していない理由は様々ありましょうが、まずは給与体系面での改善が必要かと思われます。
下の表は、介護従事者の待遇と産業平均を比較したものです。
※きまって支給する給与・・・とは、要するに基本給のことです。
表のとおり、これだけの給与格差があります。男性ももちろんですが、とくに女性の給与水準は極めて低い状況です。
こうした分野の方々の実質賃金を引き上げる形で政府が着実に支出することが重要です。
加えて、介護職員の体力的負荷を軽減するための福祉機器などへの投資も不可欠です。
先日、福祉ロボット等の開発販売を手掛けているサイバーダイン株式会社を視察する機会を頂きました。技術の進歩は凄まじいもので、介助動作において腰部にかかる負荷を低減することで腰痛を引き起こすリスクを抑えることのできる製品がもう既に実用化されています。
それを装着すれば、これまで通りの介護を楽に行うことができます。即ち、こうした技術は支えられる側だけでなく、支える側をも支援します。
因みに、これらへの支出や投資は確実に名目GDPとしてカウントされますので、まちがいなくデフレギャップ解消に資することにもつながります。