国民を豊かにすることが政治の役割です。むろん、「豊かにする」の定義は所得を増やすこと。
その点、1997年以降の日本の政治は、その役割を果たしていないことになります。
小泉内閣の一時期、アメリカの住宅バブルを背景とした純輸出増によって名目GDPが瞬間的に増えましたが、1997年以降のトレンドとしては一貫してデフレです。
自社さ政権であろうが、自公政権であろうが、民主党政権であろうが、デフレに対して無力であるという点において何ら変わりはありません。
現在の安倍政権もしかりです。
『実質賃金、5年連続マイナス 前年度比0.1%減
http://www.asahi.com/articles/ASJ5M6W1TJ5MULFA038.html
厚生労働省が20日発表した2015年度の毎月勤労統計で、物価の伸びを超えて賃金が上がっているかを示す実質賃金指数が前年度より0・1%減った。14年4月の消費増税の影響が薄まり、下げ幅は前年度の3・0%より縮んだが、5年連続のマイナスとなった。(後略)』
年度的にも5年連続のマイナスですが、暦年でも既に5年連続でのマイナスが確定していました。
下のグラフのとおり、第二次安倍内閣発足以後の実質賃金指数をみると、およそ5ポイントも下がっています。
このグラフが意味するところは、国民のモノやサービスを購入する力が5ポイントも失われたということです。(100個のリンゴを買うことができていたのに、今は95個しか買うことができなくなった、ということ)
こうした貧困化が長期にわたって続いているがために、いまや日本社会にはある種のルサンチマン(社会に対する鬱屈とした嫉妬)が根付いています。
こうしたルサンチマンが蔓延ると、政治家たちがそのルサンチマンに応えようとして政治(政策)が更に歪んでいきます。
ルサンチマン政治に陥いる→正しい政策が遂行されなくなる→更なるデフレ化が進む→ルサンチマンが蔓延する→ルサンチマン政治に陥いる・・・
という負の連鎖の中に、もう既にあるのかもしれません。
その意味でも、デフレは有害です。