先週末の朝日新聞に以下のような記事が掲載されています。
『時価総額でみるアベノミクス 建設・輸出産業にはプラス
http://www.asahi.com/articles/ASJ4M6FVFJ4MULFA02K.html
2%のインフレ目標達成が遠のくなど、ここに来て行き詰まりを見せているアベノミクスですが、株式市場にプラス効果があったことは確かです。東証1部の時価総額について過去3年間の推移をみると、第2次安倍政権発足から3カ月経った2013年3月末の時価総額は359兆円。それが同年4月の日銀による異次元金融緩和で上昇基調が鮮明となり、昨年6月にはバブル期を上回る600兆円に達しました。今年に入って相場は下落しましたが、それでも3月末の時価総額は500兆円と3年前を上回っています。(後略)』
たしかこの新聞、吉田何某とかいう詐話師のインチキ話をろくな調査取材もせずに記事にして、我ら日本国民の先人と国家の名誉を著しく貶め世を惑わしてきたことで有名な新聞社でしたね。
それに懲りたのか、上記の記事を読むと、今度は事象の上っ面だけをありのままにつまみ食いして記事にしてます。深く掘り下げて調査することが面倒くさいのと、真実を伝えようとする姿勢に欠けている論調は相変わらずのようです。この記事を読む限り。
・・・なんだかんだ言ってもアベノミクスは株式市場にはプラスだった・・・だから少しは評価してやろうじゃないか、とでも言いたいのでしょうか。
株価は上昇したけれど、現在の株式相場が市場取引の6~8割を占める外国人投資家らによって動かされている(株価上昇の最大の受益者は外国人投資家である)という重要な事実は伝えない。
株価は上昇したけれど、日銀の緩和マネーが実体経済(GDP)に向かわず、金融経済(株式市場など)に流れている、要するに国民の所得向上に向かっていない、という事実も伝えない。
株価は上昇したけれど、政権発足以来、実質賃金を5%以上も下落させている事実も伝えない。
そもそも・・・アベノミクスから株価上昇までのメカニズムについても解説しようともしない。
だいたいからして、株価上昇はアベノミクスというよりも黒田日銀の量的緩和の影響だろうに。アベノミクスの3本の矢は結局、第1の矢である「金融緩和」しか実施されていません。
少し説明しますと、黒田日銀の金融緩和によって円安になりました。つまり、外国人投資家らにとって日本株が割安になったということです。その割安になった日本株が外国人投資家らによって買われて日経平均株価が上昇したのです。よって現在の東京証券市場では、円安なら株高、円高なら株安になるというだけの話です。
朝日新聞の言う「建設、輸出産業にはプラス」とは、いったい何がプラスだったのでしょうか。
アベノミクスの目的はデフレの脱却だったはずです。よって、デフレを脱却することができてはじめて「効果があった」と言うことができます。
建設株が時価総額で上がることと、建設産業にプラスであることの意味の違いすらこの新聞は理解しようともしない。
政治の目的は国民の所得を増やすことであって、株価の時価総額を上げることではありません。
企業が資本投下し生産性を向上させ国民の需要を満たす。すると自然に国民総所得が増えます。同時に企業業績も上がります。それによって株主への配当が増え株価が上昇する。それこそが正しい資本主義の姿です。
資本主義を正しく理解していない人が経済記事を書くと、上記のようなクズ記事なります。安倍政権発足以来、インフレ率が全く上がらない一方で株価だけが上昇していることなど、もはや誰もが知る周知の事実であって、今更こんなことを報じて何の意味があるのでしょうか?
下のグラフのとおり、デフレの長期化によって、我が国の防災安全保障を担う日本の建設業者(社)数は激減し続けています。
なのに、「(時価総額でみると)アベノミクスは建設産業にはプラス」となるのですから・・・喧嘩売ってんのかっ!
そもそも、この新聞に誉められていること自体がアベノミクスの行き詰まりを象徴しています。
散々に日本の名誉を貶めて酷い目にあったものだから、今度は褒めて貶める作戦に変えたようです。