熊本では震度6レベルの地震が相次いでいるようです。既に41人の死亡者が確認されており、被害の拡大が懸念されます。
まずは、この熊本地震被害への即応対処が大前提ですが、近い将来に必ず発生するであろう南海トラフ巨大地震や首都直下型地震についてもいよいよ覚悟しておかなければならない時期にきているように思います。
今回の熊本地震を含めると、震度7レベルの地震は阪神・淡路大震災以来4回目になりますが、専門家によると今回の地震が南海トラフの前触れである可能性も高いようです。
なんでも九州地方では大分県が地震の多い地域だそうで、過去の南海トラフ地震の前には必ず大分で大きな地震が発生しているとのこと。
南海トラフ地震は100年から200年の間に一回の確立で発生してきましたが、1700年ごろに発生した南海トラフ地震の際には、その6~7年前に大分で大きな地震があり、1946年の昭和南海トラフ地震の際にも、その4~5年前にやはり大分で地震が発生しているそうです。
いったん南海トラフ地震が発生すると大きなエネルギーが放出されることになるので、とりあえず50年~100年くらいは大きな地震は起こりにくいようです。しかし、前回の南海トラフ地震から既に70年が経過していますので、いよいよなのでしょう。
しかも東日本大震災クラスの地震が起きてから18年以内には南海トラフと連動する地震が発生する可能性も高いとのことです。こちらもあれから5年が既に経っていますので、遅くとも10年以内、早ければ5年以内には強大地震が発生するということなのでしょうか。
大地震は、自然災害大国である日本に住んでいる限り逃れることのできない現実でもあります。
であるからこそ、できうる限りの措置を施しておかなければならないと思うわけですが、かつて「コンクリートから人へ」という愚かなるスローガンを掲げ、必要な防災対策を怠った政権もありました。
昨年9月の台風18号で鬼怒川の堤防が決壊し、3名が死亡、22人が行方不明となりました。なお被害総額は数百億円だったと記憶しています。
決壊した鬼怒川の堤防部分には、もともと改修工事のための予算がついていました。・・・確か10億円程度だったと記憶しています・・・これを民主党政権は事業仕分けの名のもとにバッサリとカットしたのです。その後、台風18号によって堤防は決壊しました。よって天災ではなく、明らかな人災です。
2005年に米国ニューオリンズで発生したハリケーン・カトリーナは1000人の死者をだし、その被害総額は14兆円にも及びました。
その後、米国の合衆国連邦緊急事態管理庁(FEMA)が試算したところ、仮に2200億円の防災投資を事前に行っていれば、被害はゼロだったとのことです。
ここで重要なことがあります。
例えば、事前に2200億円の防災投資をしたとしても、もしかしたらカトリーナは来なかったかもしれません。あるいは鬼怒川の堤防工事を行ったとしても台風18号は来なかったかもしれません。だからといって、事前に施された防災投資が無駄だったとはならない、ということです。
無駄の定義を曖昧にしたまま公共投資を減らし続けてきた我が国では、いずれそのツケを政府というより国民一人ひとりが享受しなければならない日が訪れることでしょう。
よって、今からでも、できうる限りの防災投資(公共投資)を行っていかなければならないのです。
しかしながら、現在の安倍政権は、あの「コンクリートから人へ」の民主党政権とほぼ同水準(というより…少ない)の公共投資しか行っていません。
国民の生命と財産、そして国家の存亡よりも、プライマリーバランスはそんなにも優先されるべきものなのでしょうか?