新たな一週間がはじまりました。
今週は27~28日に、日銀の金融政策決定会合が予定されています。
〇〇証券会社の〇〇エコノミストとか〇〇上席研究員とか呼ばれる人たちが、ときおり以下のような発言をします。
「市場の期待は・・・」とか、
「市場の心理は・・・」とか。
ご丁寧に「市場?!」とやらの代弁をしてくださっていますが、そもそもここでいう「市場」っていったい何でしょう。おそらく株式市場のことを言っているのだと思われますが、市場には金融市場だけでなく、実体経済(GDP)の中にだって財貨別、サービス別ごとに数えきれないほどの市場があります。
株式市場は金融市場の一つに属しますが、株式市場だけをブレイクダウンしてみても、1部上場と2部上場とに分かれ、あるいは東証マザーズもありジャスダックもあります。あるいは先物取引もあり、それを商品別にすれば金やら石油やらゴムやら穀物やらと、これらも数えきれないほどの市場があります。
これらすべての市場に精通している専門家など絶対といっていいほどいないでしょう。
株式市場だけをとってみても、様々なファクトと思惑、あるいは国境を越える資金によって複雑に変動している世界のはずですので、市場なるものを一般化して、しかもそれを代弁できる人などこの世に存在しないと思うのですが・・・
まあ、それはそれとして・・・
そのシジョウとやらが、今週開催される予定の日銀金融政策決定会合に注目しているそうです。
〇〇上席研究員によると、「シジョウは更なる金融緩和を求めている」とのことですが、もうすでに日銀が購入すべき国債が枯渇している昨今、これ以上の量的緩和は不可能かと思われます。
したがって、更なるマイナス金利の拡大ぐらいしか緩和政策をとることができない状況かと思われます。あとは賃上げや投資を行う企業の株式を組み入れたETF(上場投資信託)の買い増しくらいでしょうか。
これ以上のマイナス金利は、銀行の収支を更に圧迫してしまい、そのしわよせとして預金者に新たな負担を求めることにつながりはしないでしょうか。
仮にそのようなことになると、家計や企業収支を圧迫しますので更なるデフレ圧力になります。
そもそもがマイナス金利政策は資本主義の死を意味しています。あるいは正常な金融仲介機能を破壊しているという面においては金融の死といってもいい。
正常な資本主義と、正常な金融仲介機能を回復するためには、民間投資や個人消費の拡大が必要ですが、今はデフレ。よって政府が需要創造するしかありません。そのための金融緩和政策なら筋が通っています。
では何の需要をつくるのですか?
むろん、防災投資や技術開発投資などの将来の安全と生産性向上にむけた需要創造です。あるいは医療、介護、保育などの福祉分野で働く皆さんの雇用環境改善のための支出も含みます。
例えば、かねてよりご紹介させて頂いていますが、1998年に我が国はデフレに突入して以来、公的固定資本形成がほぼ半減しています。このことによって、日本のインフラは相当に傷んでいます。
例えば、財政出動してインフラ投資をすると、ふ・つ・う・に防災力が強化されます。あるいはふ・つ・う・に交通網の整備も進み、ふ・つ・う・に国民一人あたりの生産性が向上します。国民一人あたりの生産性が向上すると、ふ・つ・う・に国民一人あたりの所得が増えます。国民一人あたりの所得が増えると、ふ・つ・う・に政府の税収が増えます。税収が増えると、ふ・つ・う・に更なる投資や社会保障の財源を確保することが出来ます。
社会保障費の伸びは毎年1.5兆円です。経済成長率を名目で2%達成するだけでふ・つ・う・にお釣りがきます。
政府が長期にわたって投資計画を立てれば、ふ・つ・う・に民間企業の設備投資も拡大します。そうすると資金需要がふ・つ・う・に高まって金利が上がり、ふ・つ・う・に本来の金融仲介機能が回復しつつ、ふ・つ・う・に年金生活者の金利収入も増えていきます。
ですので、いま必要な政策はふ・つ・う・に財政出動です。
財政出動なき金融緩和では、デフレを脱却することはできません。ふ・つ・う・に