昨日、一昨日と連日で『プレミアム商品券』の経済効果について述べましたが、4月5日付の日本経済新聞に以下のような記事が掲載されていました。
『消費喚起へ「商品券」 諮問会議、子育て支援など提言
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGF04H1A_U6A400C1EA2000/
政府の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)は4日、国内総生産(GDP)の底上げに向けた消費喚起策をまとめる方針を決めた。子育て関連のサービスに使えるクーポン券の配布、額面を上回る買い物ができるプレミアム付き商品券の発行などを新たに盛り込む。政府は2016年度当初予算を前倒しで執行するのと合わせ、足踏みが続く景気のてこ入れをねらう。』
政府は、ジョセフ・スティグリッツ教授やポール・クルーグマン教授らの進言を受けて、しぶしぶ財政出動を検討しているようですが、なぜか実需をつくるための対策というと必ずでてくるのがこのプレミアム商品券です。
あくまでもインフラ整備などの公的資本形成に対する投資はやりたくない、ということなのでしょう。
昨年に実施された川崎市のプレミアム商品券の経済効果を検証してみても、「まったく効果がない」とは言わないまでも「デフレを克服するための需要効果は乏しい」と言わざるをえません。(4月4日、4月5日のブログ参照)
なぜ、そこまで頑なに実需をつくるための投資を避けたがるのでしょうか。
作家・三橋貴明先生によれば、「財務省をはじめとする多くの官僚や学者など、経済政策にかかわるエリートのなかに、新古典派経済学(新自由主義)を体得したアメリカ留学組が多い」ことが背景にあるとのこと。
なるほど新古典派経済学を信奉するグローバリストたちにとって“デフレ脱却のための財政出動”は彼らの利益に反する所業のようです。
そうした彼らのプロパガンダが浸透しているせいか、国民世論のなかにも「人口減少社会に入った日本国では、これ以上の政府投資は不要」的な考え方が蔓延しているようです。
しかしながら、我が国のGDE(国内総支出)のうち、約8割が消費支出です。のこりの大部分が固定資本形成(=投資)となりますが、固定資本形成のうち機械部分をのぞく建設投資はわずか10%程度です。
自然災害大国の我が国で、あるいは一人あたりの生産性を高めていかなければならない我が国で、こうした建設投資を軽視した経済構造はいずれ大きな禍根をのこすことになるでしょう。まちがいなく・・・
さらに選挙が近いということもあり、どうしても所得移転系の対策が中心になってしまう、という点もあるのでしょう。
それは有権者がバカにされている、ということです。